寒い地域、あるいは寒期におけるかぜは悪寒や微熱、頭痛などが生じて始まるものですが、汗は出ません。一方、暑い地方や暖期のかぜの引きはじめには熱と汗が付きものです。しかし、悪寒はありません。このようなかぜは温痛の一種で、風温のかぜと見なされます。
風寒のかぜが風邪や寒邪によって発症するのに対し、風温のかぜは温邪や熱邪、燥邪の侵入によって引き起こされます。この風温のかぜに対しては辛涼解表剤で冷まし、外邪を体表から追い出しますが、辛淳解表剤の代表方剤が銀翹散です。
また、肩凝りや悪寒など後方から迫る風寒のかぜに対し、風温のかぜには肩凝りや鼻水はなく、のどの症状で始まる前方からのかぜということになります。即ち前から来るかぜには銀翹散、後ろから来るかぜには葛根湯と覚えておいてください。