味覚は五感の一つであり、主に口の中の味蕾によって感じています。元来味覚には甘味、酸味、苦味、塩辛味、うま味がありますが、近年脂味(fatty taste)も追加されつつあります。味蕾は舌粘膜や口蓋粘膜、喉頭蓋粘膜の他、気道、脳、消化管、膵臓にも存在し、5000種類もの味蕾がさまざまな味覚物質と結合し、その組み合わせによってあらゆる味を区別できる仕組みとなっています。
甘味は舌尖部、塩辛味は舌縁部で感じ、それぞれの味で感じる部位が違うという説に沿って「味覚地図」が作成され、世間に広まりましたが現在では否定され、ひとつの味蕾でそれぞれの味を感知することが判明しています。
生存競争にさらされる私たちに対して、それぞれの味覚が大変重要な情報を与えてくれています。即ち甘味はエネルギー、酸味は腐敗、塩辛味はミネラル、苦みは毒、うま味はタンパク質を伝えてくれるのです。
うま味には依存性が少ないため、うま味のある食べ物を無性に食べたくなることはありませんが、甘味には依存性があるため、病み付きになって際限なく食べてしまい大変危険です。従って、肥満の人は甘味ではなくうま味を摂ると適量でも十分な満足感を得られ、食べ過ぎを防ぐことができます。
肥満になると甘味受容体作用を抑えるレプチンが分泌され、肥満にストップをかけてくれますが、肥満が進むとレプチンに対する抵抗性が生じて止まらなくなります。