扁平苔癬は病変部を組織採取し、病理組織検査をすることで診断が確定します。病理組織像の特徴は以下の通りです。
表層の過角化症
粘膜上皮の角化が亢進して厚くなることにより、粘膜が白くなります。角化が亢進する理由ははっきりしていませんが、リンパ球による細胞破壊に対する反応として増殖反応も同時に生じるようです。このために増殖部が白くて萎縮部が赤い扁平苔癬に特有の複雑で多彩な肉眼所見が現れます。
上皮突起の鋸歯状化
基底細胞が変性して消失すると、有棘細胞が基底面に露出し、上皮突起は鋸歯状になります。
上皮基底層直下のリンパ球の帯状浸潤
ヘルペスウイルスやマイコプラズマによる感染を契機として、T細胞系の自己免疫反応が生じた後に、B細胞による液性免疫が活発化します。組織像としては上皮直下の結合組織に帯状のリンパ球浸潤が生じ、上皮内にも浸潤していきます。
基底細胞層の消失
粘膜上皮最下層の基底細胞層が浸潤してきたリンパ球により破壊され液化変性します。このため、基底膜層の構造がはっきりとしなくなり、上皮と結合組織が連続します。
シバット小体の出現
シバット小体とは基底膜層のケラチノサイトが液状変性して空胞化したものです。このシバット小体が上皮層下部や上皮下結合組織上部に現れます。
扁平苔癬症例写真 |
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