ビスフォスフォネート製剤は高齢者の健康維持に貢献する一方、顎の骨が壊死するなど重大な問題が報告されています。抜歯後の傷が治らず、骨が広い範囲で腐っていくことを薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)といいます。予防策として、抜歯などの手術前にはビスフォスフォネートの服用を中止すべきという説もあります。
ビスフォスフォネート製剤が顎骨壊死を引き起こす原因とは何でしょうか。虫歯や歯周病は細菌感染により生じる病気ですから、進行すると歯の周囲の顎の骨にまで細菌が侵入していきます。これに対して骨はリモデリングを繰り返し、細菌に対する防御網を築きます。
このとき、ビスフォスフォネート製剤が破骨細胞を抑制するとリモデリングが阻害され、細菌に対して抵抗できなくなってしまいます。その結果、骨髄炎が生じて骨が壊死していきます。顎骨壊死とは顎骨骨髄炎を意味するのです。