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六君子湯

人参剤の代表方剤である四君子湯に由来する方剤です。人参、白朮、大棗、甘草、茯苓、生姜、半夏、陳皮の八つの生薬から構成され、内容の通り、人参剤、苓朮剤、半夏剤の三つの要素を兼ね備えています。

六君子湯は逆流性食道炎の治療薬として広く用いられています。この病気は胃酸により食道粘膜が炎症を起こして胸やけなどが生じますが、脾胃の気虚や水滞ではありません。そのため、中医学の弁証から捉えると六君子湯の証ではありません。

食道の炎症は脾胃の熱と見なされ、大黄剤が用いられます。代表方剤は大黄甘草湯となり、大黄の働きにより排便させて脾胃の熱を奪います。ちなみに肝の熱では柴胡剤を用いて代表方剤は小柴胡湯、心の熱には芩連剤を用いて代表方剤は黄連解毒湯です。水を集めて心熱を冷ます作用ですが、水滞になった場合は半夏瀉心湯を用います。

六君子湯の働きに対する西洋医学の研究も進んでします。六君子湯が効果を発揮する臓器は主に胃で、食道や腸、脳、心臓に対しても幾つかの効果が認められています。

胃の内分泌細胞から分泌されるグレリンやアシルグレリンというホルモンには食欲亢進作用があるため、「空腹ホルモン」とも呼ばれます。六君子湯には空腹ホルモンの分泌促進作用や作用増強作用があります。胃には成長ホルモン分泌促進因子受容体(GHS-R)があり、この受容体にグレリンが結合すると脳の視床下部の摂食中枢を刺激し、食欲が増します。グレリンは脳内にもあり、視床下部のGHS-Rに直接結合して空腹感を強くさせます。

アシルグレリンは代謝酵素(カルボキシルエステラーゼまたはブチリルコリンエステラーゼ)の働きによってデスアシルグレリンに変化し、その働きを失います。六君子湯はこの酵素の作用をブロックし、食欲低下を防ぎます。

六君子湯は食道粘膜のバリア機能改善作用、食道酸クリアランス改善作用、胃適応性弛緩に対する作用、胃排出改善作用、胃粘膜血流改善作用も併せ持ち、これらの働きもまた医強化の強化に役立ちます。

 

 

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