気血水の異常と冷え
飲食物として胃から摂取される気により、血や水が生成されます。血が不足すると(血虚)、血行によって届けられる熱が不足し、冷えが生じます。水が過剰となると(水滞)、熱が奪われ、冷えが生じます。血が滞っても(血瘀)、末梢の血行が悪くなり、冷えが生じます。気は陽気であり体を温めますが、気が不足すると(気虚)、冷えが生じます。気虚は血虚、血瘀、水滞の原因ともなります。気は全身を循環していますが、この流れに異常が生じて気が上昇すると(気逆)、手足の冷えや下半身の冷えが生じます。
冷え性の分類
陰証の主な症状は「冷え」で、以下の四つに分類されます。
全身型
全身の「寒」を附子や乾姜などの温性薬で温めます。附子が入ったものは八味地黄丸や真武湯、麻黄附子細辛湯、乾姜が入ったものは人参湯や苓姜朮甘湯です。また、附子と乾姜の両方が入った四逆湯類は去寒作用が高く、全身衰弱状態を回復させる効果があります。
上熱下寒型
冷えのぼせを意味し、気や血が上に逆流するために生じます。利気作用や駈瘀血作用がある桂皮や甘草などの生薬を使い、方剤は桃核承気湯、三黄瀉心湯、温経湯、加味逍遥散、五積散が有効です。
内臓の冷え
胸部、腹部、背部の冷えや内臓が冷える裏寒の症状は、山椒や乾姜で温めます。方剤は大建中湯、苓姜朮甘湯、当帰湯、安中散が有効です。
四肢末端型
レイノー現象が見られ、血瘀や血虚により生じます。生薬では当帰、呉茱萸が有効です。虚証であれば当帰芍薬散、呉茱萸湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、実証であれば桂枝茯苓丸を用います。