遠志(おんじ)
ヒメハギ科イトヒメハギの根を乾燥し、中心の木部を抜き取って生薬にしたものが「遠志」です。イトヒメハギを中国語で細葉遠志といい、日本の野山でよく見かけるホソバヒメハギに姿かたちが似ています。名前にも共通点が多いので、もしかすると同じものかもしれません。
心火が燃え盛り、腎陰が不足する状態を中医学では「心腎不交」といいますが、遠志には心と腎を交通させて「神」を安らかにする作用があります。遠志にはまた「益志」の作用があり、「心」「腎」の不足から起こる記憶力減退、健忘、精神集中力低下を改善します。さらに袪痰作用もあります。
遠志を含む生薬は帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯です。