2016/2/26
相談: (37歳 男性)
はじめまして。歯根が割れた状態で、歯周ポケットも深くなっています。5mmぐらいです。隣の歯に悪影響を及ぼす寸前まで来ています。3件の歯科で抜くように言われました。このような状態でも、意図的再植は可能でしょうか。
回答:口腔内科 樋口均也
歯ぎしりや食いしばりで歯に無理な力がかかったり、顔面を強打したりすると歯根が破折する場合があります。特に神経を抜いた歯は弱いため、破折が生じやすいといえます。
亀裂が入る程度のものから完全に割れてバラバラになるものまで、歯根破折にもさまざまな段階があります。ただし、亀裂程度でも細菌が繁殖して炎症が持続しやすいため、歯槽周囲の歯槽骨が吸収されてなくなります。そのような経緯から、5mm程度の歯周ポケットが生じたのでしょう。
問題点は亀裂部分に細菌が繁殖することなので、その部分を封鎖すれば改善する可能性がありますが、亀裂部分が大変狭いため、セメントを流し込む作業が困難なのです。
この点に関しては意図的再植という方法で解決できる場合があります。一度歯を抜き、亀裂部分をきれいにしてセメントで固めた後、歯を元の位置に戻せば歯が根付き、元のように噛める見込みがあります。もちろん骨も再生し、歯周ポケットは消失します。
しかし、残念ながら順調に治るケースはあまり多くありません。噛むと痛むという状態が続いたり、歯周ポケットが残ってしまったり、再度破折する場合もあります。
意図的再植術は歯根破折後できる限り早期に行うと成功率が高く、破折した当日や翌日がベストです。結果は歯根の形や大きさ、破折の程度によります。