あまり知られていませんが、胃や肺などの臓器と同様に、お口の中にもがんができることをご存知ですか?わが国における口腔がんの罹患率はがん全体の約2%にすぎませんが、この数値は血液腫瘍である白血病を上回っており、直接生命に関わる重大な病気であることには違いありません。また、幸いにして最悪の事態は避けられたとしても、口腔がんのために「食べる」「飲む」「話す」「呼吸する」など私たちが生きていくうえで必要なお口の機能が大きく妨げられ、 QOL(生活の質)が著しく低下してしまう場合もあります。
ところで、口腔内には良性・悪性を含めて多くの腫瘍が存在します。口腔がんの中で最も多いのは舌にできる舌がんで、全体の約60%を占めています。その次に多いのが歯茎にできる歯肉がん、以下舌と歯茎の間にできる口底がん、頬の内側粘膜にできる頬粘膜がん、お口の天井部分にできる硬口蓋(こうこうがい)がんと続きます。
また、50歳以上の比較的ご高齢の方に発症しやすく、女性よりも男性に多い傾向があります。