風邪には首筋や後頭部から始まるものと、のどの痛みから始まるものの2種類があります。前者は傷寒論に治療法が解説されている「傷寒」で、後者は19世紀初頭に発展した温病学が明らかにした「温病」です。
傷寒の場合は、まだ体力がある初期で寒気と肩の凝りと頭痛があり、汗が出ない場合には葛根湯を2~4日内服します。症状が強く、薬の強力な効果を求める場合は麻黄湯を用います。鼻水が強い場合は小青龍湯、咳がはげしいときは麻杏甘石湯を内服します。汗が出ている場合には桂枝湯、体力が落ちていて、熱が出ない場合は麻黄附子細辛湯を内服します。また、胃腸が弱い場合には参蘇飲、夏場の風邪には香蘇散を内服します。
風邪が回復しないまま便秘が生じた場合は、大承気湯や調胃承気湯を内服します。風邪を引いて4~5日しても治らず、熱や寒気がある場合は小柴胡湯、頭痛や腹痛が続く場合には柴胡桂枝湯、ストレスが強い場合には柴胡桂枝乾姜湯を内服します。鼻水がたくさん出る場合には苓甘姜味辛夏仁湯、鼻詰まりには辛夷清肺湯、痰が絡む場合には半夏厚朴湯を内服します。
風邪が長引いて消耗がはげしいときは桂枝加芍薬大黄湯、食欲が落ちている場合は人参湯や補中益気湯、また便秘の場合は桂枝加芍薬大黄湯を内服します。
温病の場合には銀翹散、のどの痛みが強い場合には駆風解毒湯を内服します。