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ファーストバイトシンドローム

食事の一口目にズキッと顎が痛む症状のことです。なぜ痛むのかというと、下顎の後ろにある耳下腺という唾液腺から急激に唾液が分泌されるためです。耳下腺には唾液が蓄えられていて、ものを食べようと口を動かすと導管を通って口の中に唾液が出てきます。

唾液は口の動きに伴って自然に出てくるだけでなく、レモンや梅干しのような酸っぱい食べ物を連想するだけでも出てきます。このように唾液の分泌をコントロールしているのが自律神経で、交感神経と副交感神経の両者が共同して耳下腺から唾液が出る量とスピードを調節しているのです。したがって、ファーストバイトシンドロームとはこの調節が崩れ、一気に唾液が出ようとして導管が無理に押し拡げられたために痛みが生じたものです。この現象は一口目に顕著で、二口目以降は軽減していきます。

ファーストバイトシンドロームはのどの横の副咽頭間際にある腫瘍を切除したり、耳下腺の手術をしたりすると起こりやすいとされています。この部分を通る交感神経が傷つくと耳下腺の筋上皮細胞に「除神経性過敏」という現象が起こって痛みが生じますが、本当に痛みを感じるのは顎関節ではなくその下方にある耳下腺の部分ということになります。

ファーストバイトシンドロームに対しては通常の痛み止めは効果がなく、抗けいれん薬(テグレトール)や抗うつ薬(トリプタノール)が用いられます。

ファーストバイトシンドロームと同時発症しやすいのがホルネル症候群です。これは縮瞳(瞳孔が小さくなること)や眼瞼狭小(上まぶたが下がり、下まぶたが上がって目が小さくなること)、顔面の発汗の低下が特徴で、ファーストバイトシンドロームと同様に交感神経が傷つくことによって生じます。

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