親知らずは抜かないといけないの?
親知らずの周囲に汚れがたまった結果、痛みや腫れを繰り返す状態を智歯周囲炎といいます。上下に関わらず親知らずは一番奥にあるため、磨きにくく汚れがたまりやすいことからむし歯や歯周病になることが多く、手前の歯まで同時に悪くする場合もあります。特に、一部しか生えていない親知らずはきちんと歯磨きすることが不可能なため、最も問題が起こりやすい状況です。このような場合は、抜歯の必要があります。
一方、親知らずが完全に埋まっている場合は、汚れがたまることもないため通常は抜く必要はありませんが、前の歯を押して歯並びを乱している場合には抜いた方が賢明です。また、矯正治療を受ける場合は、歯並びを整える目的で親知らずの抜歯が必要になることもあります。
横向きに生えた親知らずはどのようにして抜くの?
現代人の顎は小さくなる傾向にあり、親知らずが正しく生えるスペースが不足しがちです。そのため、親知らずが頭を前にして横向きに生えてきたり、横向きで埋まったまま生えてこないことが正常に生えてくる場合よりも多いのです。
ところが、横向きの親知らずをそのまま前方に引き抜こうとしても、通常は前の歯にぶつかって抜けません。そこで、まず歯の頭と根の繋ぎ目の部分を削って切断し、歯の頭を上に引っ張って取り除いた上で残った根を抜くことになります。
一方、親知らずが埋まっている場合は歯茎を切開して親知らずを出してから抜き、その後歯茎を縫い合わせます。また、骨の中に埋まっている場合には、骨を削り取って親知らずを出してから抜きます。
今、左下親不知の手前の歯で悩んでおります。今月1日に左下の親不知を大学病院で抜きました。手前の歯を押していたからです。手前の歯は虫歯のため神経も抜き、詰め物をしていました。その歯が、親不知を抜いた際にはっきりと縦に割れていることがわかりました。今は、親不知を抜いた痛みと、手前の歯が割れていたことによる歯茎に膿が溜まって炎症をおこしている痛みがあり薬を服用中です。8日に親不知の術後の抜糸予定です。左下親不知の手前の歯は、かかりつけ医で根元まで割れているので、抜かないといけないと言われました。
そこでご相談したいことなのですが、左下親不知の手前の歯を抜いたあと、残っている親不知を移植することができるのでしょうか。その際、右下の親不知も手前の歯に当たっているため、いずれは抜かないといけないと言われているため、その歯を使うことができますでしょうか?ただ、そうなると左右同時の抜歯となり、痛みや食事を取りにくくなるであろう不安があります。ちなみに上の親不知はまだ2本とも残っています。
親不知を移植できるか否かについては、レントゲン等で歯の形や状態を調べてからの判断となります。恐らく、残存する3本の親不知のうちのどれかを移植することは可能でしょう。右下の親不知は手前の歯に当たっているということですが、横向きに生えていて抜きにくい場合は歯を分割しながら抜く場合があります。ただし、残念ながらこの場合は抜いた歯を移植することは困難です。通常、歯の移植後は接着剤や針金などを用いてしばらく固定し、落ち着いたら移植した歯の根を治療することになります。
また状態にもよりますが、左上の親不知だと左側だけの処置で済むため、治療後の食事なども比較的楽になるでしょう。歯の噛み合わせには個人差があるため一概には言えませんが、左下の親不知を抜いたことにより左上の親不知はほとんど機能していないと考えられるため、恐らく抜歯しても問題はないでしょう。その場合、右下の親不知は左側が落ち着いた状態のときに日を改めて抜歯することになります。
ただし、左側だけでも強く腫れた場合は食事が困難になる可能性があります。痛みや腫れの程度は人によって違いますが、数日から1週間程度腫れると見込み、重要な仕事や用事を控えている時期は避けた方が無難でしょう。