HIV(エイズウイルス)に感染すると血液中でHIVが増殖し、4~6週間後にウイルス量がピークに達します。この時期に急性レトロウイルス症候群(ARS)が発症すると、咽頭痛や発熱、リンパ節腫脹、発疹、倦怠感、筋肉痛、下痢、頭痛が生じます。感染後6~8週頃になってHIVに対する抗体ができてくると、ARSは自然に治まります。
その後数年~10年間は無症状ではあるもののHIVは増殖を続け、免疫力に関わるCD4 陽性リンパ球が減少していき、HIVに対する免疫力が全壊すると遂にエイズを発症し、免疫不全状態となります。
無症状期、エイズ発症期にはさまざまな症状が口腔や咽頭に見られます。
カンジダ症
口蓋粘膜や頬粘膜が白い偽膜で覆われ、粘膜が委縮して赤くなる場合があります。口角炎もカンジダ症でよく見られます。
口腔毛様白板症
両側舌縁部に太い毛、あるいはヒダのような白い突起が何本も現れます。
HIV関連歯肉炎・HIV関連歯周炎
HIV関連歯肉炎は、線状歯肉紅斑という歯肉出血を伴う紅色線状病変です。悪化するとHIV関連歯周炎である壊死性潰瘍性歯周炎に進展し、激しい痛みや出血、歯周組織の破壊が生じます。
ドライマウス
唾液の分泌量が低下し、ドライマウスが生じます。
カポジ肉腫
口蓋粘膜や歯肉に扁平の紅斑が生じ、やがて隆起して結節状の腫瘍となります。HPV-8ウイルスの感染が関連しています。
非ホジキンリンパ腫
EVウイルスの感染が関連する悪性リンパ腫です。