唾液腺マッサージを日課として続けることにより、唾液がよく出るようになったという研究結果があります。タイのマヒドン大学歯学部の歯科看護士が73名の糖尿病患者に唾液腺マッサージを指導し、患者は1日3回食事前の唾液腺マッサージを毎日行いました。
安静時唾液量 刺激時唾液量
マッサージあり マッサージなし マッサージあり マッサージなし
開始時 0.13ml/分 0.11ml/分 2.14ml/分 2.36ml/分
1か月後 0.25ml/分 0.12ml/分 3.21ml/分 2.30ml/分
3か月後 0.32ml/分 0.14ml/分 3.66ml/分 2.83ml/分
唾液腺マッサージを1か月間計測すると、安静時唾液量は2倍近く、刺激時唾液量も5割程度増加しました。唾液腺マッサージを行わない場合では、1か月後の唾液量に変化は見られませんでした。マッサージを継続していくと、3か月後には安静時唾液量がさらに増加しました。安静時唾液量とは自然に出てくる唾液の量、刺激時唾液量とはパラフィンワックスを5分間噛んで出てきた唾液の量を表しています。
唾液腺マッサージを行うと唾液がよく出てくる、この効果はマッサージ後の一時的な効果に留まりません。継続的なマッサージが唾液腺の機能を向上させることにより、マッサージをしていなくても唾液が出やすくなることを証明しています。つまり、唾液腺マッサージはドライマウスを根本的に改善する方法であると言えるのです。
Jeamanukulkit, Supanee, Tippanart Vichayanrat, and Patcharaphol Samnieng. “Effects of the salivary gland massage program in older type 2 diabetes patients on the salivary flow rate, xerostomia, swallowing and oral hygiene: A randomized controlled trial.” Geriatrics & Gerontology International 23.7 (2023): 549-557.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdfdirect/10.1111/ggi.14629