2018年7月31日
相談: (38歳 女性)
初めてメールさせていただきます。昨年の7月頃から熱いものを食べると左の奥から2番目の歯が痛むようになりました。過去にむし歯治療をし、銀歯をかぶせた歯です。近くの歯科医に行き、レントゲンを撮りましたが、むし歯になっておらず神経にも問題ないとの事でしみどめを歯にぬり終了になりました。ですが、痛みは改善せず再度歯科医に行きその旨を伝えると、銀歯を外し直接中を確認しましたが、やはりむし歯になっていないし神経も悪くなっていないとの事で痛み止の薬を入れ、仮詰めをし、カロナールを処方してもらいました。それでも症状は改善せず、月に2~3回歯科医に行きしみどめをぬったり痛み止を中に入れたりをずっと繰り返して来ました。
それが、今年の5月末になって、痛みが歯だけではなく、頬やこめかみの辺りまで広がるようになり、すぐに歯科医に行き何とか出来ないか聞いたところ、原因がわからないとの事で総合病院に紹介されました。
総合病院でレントゲン、CT、歯を叩く、電気で神経の状態を見るなど検査をしましたが、歯自体に原因はなく、親知らずかもとの事で親知らずを抜歯しましたが、症状は変わらずあります。そこで初めて「口腔顔面痛」「非定型歯痛」と診断されました。ですが、自分で色々調べても、熱いものを食べると歯が痛むというのはどこを見ても見つからず、不安があります。そこでお聞きしたいのが、
①熱いものを食べると歯から顔に痛みが広がって行くが、普段は全く症状が出ない場合でも口腔顔面痛や非定型歯痛に該当しますか?
②その場合、どの診療科を受診すれば良いですか?
また、漢方薬の服用を考えていて、立効散や抑肝散は証などにあまり関係なくほとんどの人に処方できると聞きましたが、どちらの方が良さそうですか?お忙しいところ済みませんが、よろしくお願い致します。
回答:口腔内科 樋口均也
温刺激によって歯が痛み、その痛みが頬部や側頭部に拡がるということですね。上下のいずれの歯であるかが記載されていませんが、おそらく左側上顎第一大臼歯もしくは第2大臼歯の痛みであろうと推察します。
歯が痛む場合は、通常歯に異常があるのかどうかを確認しますが、むし歯がなく、エックス線検査で異常がなく、打診痛もなく、電気歯髄検査が正常ということから歯に異常はなさそうですね。歯の神経の有無については記載されていませんが、おそらく神経は残存しているのでしょう。このような条件下で温刺激による痛みがあることから、歯髄炎が生じている可能性があります。冷刺激により痛みが生じるかどうかも調べるとよいでしょう。歯髄炎があれば痛みが持続し、周囲に拡大しても不思議ではありません。また、歯の破折がある場合も同様の痛みが生じやすくなります。総合病院の診断通り歯に何も異常がない場合は、非定型歯痛(非歯原性歯痛)であると判断されます。温刺激がきっかけとなって神経障害性疼痛が引き起こされたのかもしれません。
神経障害性疼痛であれば投薬による治療が中心となり、三環系抗うつ薬や抗けいれん薬の内服により痛みの軽減が期待できます。認知行動療法などの心理療法を併用するとさらに効果的でしょう。薬物療法(心理療法)については口腔外科、ペインクリニック(麻酔科)、心療内科で相談されることをお勧めします。
相談: (38歳 女性)
記載もれがあり、済みません。痛みのある歯は左上の奥から2番目です。神経は残っています。神経に問題がないのに抜いても痛みがなくなるか分からないし、元に戻せないとのことで、神経を抜く前に総合病院に紹介されました。本日総合病院に再度受診しました。
親知らずの傷はもう大丈夫とのことで、まだ痛みは改善していないと伝え、神経には原因はないのか確認しましたが、神経は大丈夫とのことでした。仮詰めになっているので、被せたら脳神経外科で診てもらうように言われました。
それでもまだ歯髄炎なんじゃないかと不安です。レントゲンもCTも打診もしました。他に調べる方法はありますか?別の歯科医に診ていただいた方が良いでしょうか?その際は被せものをする前の状態の方が良いでしょうか?
回答:口腔内科 樋口均也
歯髄の状態を調べる方法として垂直打診、水平打診、根尖部の圧痛と腫脹、電気診断診、温刺激、冷刺激があります。これらの検査で判明しない場合は、試験切削を行うことになります。他の歯科を受診される場合は、かぶせ物を入れる前の方がよいでしょう。