当帰、桂枝、芍薬、生姜、甘草、大棗から構成された当帰建中湯は、幾つかの建中湯類の中でも補血作用の強い方剤です。桂枝、芍薬、生姜、甘草、大棗は表を温めて風邪による表寒を治す桂枝湯と同じ生薬構成ですが、芍薬が増量されています。桂枝湯の芍薬を増量したものが桂枝加芍薬湯であり、芍薬には腹部の筋肉(骨格筋)や内臓の筋肉(平滑筋)の緊張を和らげて腹痛を治す作用があります。桂枝加芍薬湯に当帰を加えた当帰建中湯は、当帰の補血作用や駈瘀血作用によって血虚・血瘀による腹部の症状を改善します。
建中湯とは「お腹(中)を立て直す」という意味を持ち、腹痛、腰痛、月経痛、座骨神経痛、子宮出血、痔などを改善します。