風邪(ふうじゃ)が表(衛分)を犯すと寒気が生じて熱が出ます。これが「風寒」で風邪やインフルエンザの初期症状です。経絡弁証では背中は陽でお腹は陰であり、風寒は背中側の首筋から入って寒気がします。一方、お腹側の口から風邪が入ると寒気がしてのどが痛くなります。首筋からの風邪には葛根湯を、のどからの風邪には藿香正気散を用います。暖かい地方の風邪やウイルス感染症で風邪(ふうじゃ)に侵されても寒気がない場合は「風熱」で、清営湯や犀角地黄湯など温病に対する方剤を用います。
風邪が血分に入ると三叉神経痛や顔面神経麻痺、顔面チックが生じます。三叉神経痛に対しては葛根湯と小青龍湯が合わせて用いられ、顔面神経麻痺と顔面チックに対しては葛根湯と芍薬甘草湯が用いられます。