2018年11月15日
相談: (36歳 女性)
ある日、朝起きたら、急に口の中が違和感。常にざらざらしている感じで。歯磨きしても治りません。そのうち治るかなと思いましたが、数ヶ月経っても治りません。
ドライマウスかと思いましたが、先日、歯のイベントで舌の計測をしてもらいましたが、乾燥気味だけど、ドライマウスではないと言われました。症状的に口腔異常感症かなと思うのですが、近所の歯医者さんを受診して、わかるものでしょうか。また、口腔異常感症だった場合、治るものなのでしょうか。
回答:口腔内科 樋口均也
口の中の違和感の原因として、ドライマウスと口腔異常感症を疑われているようですね。確かにこの2つは口の中に違和感が生じる代表的な病気です。両者の違いは、ドライマウスの多くが口腔粘膜の乾燥という明確な変化が目に見えて現れるのに対し、口腔異常感症では口腔粘膜に症状に見合うような変化が現れないという点です。
歯のイベント時のドライマウス検査は、口腔粘膜湿潤時計を舌粘膜に押し当てるというものでしょうか。この機械を使うと、粘膜が湿っているか乾燥しているかが数秒で判明しますが、ドライマウスの診断には「唾液がどの程度出てくるか」を測定する方法が一般的です。従って、「唾液分泌量」の測定をしてからの判断となります。
ドライマウス以外では、口腔カンジダ症や口腔扁平苔癬という病気で口腔粘膜に違和感が生じることがあります。これらについても検査が可能なので、ドライマウスと併せて専門的な診察を受けられることをお勧めします。
詳しく調べた結果、口腔粘膜に何も異常が見つからなかった場合は口腔異常感症と考えてよいでしょう。口腔異常感症とは粘膜の異常ではなく、口の中の感覚を脳に伝える神経の異常が原因です。残念ながら、神経の異常を調べる手段は現在の医学にはまだ存在しません。大学などの研究室で幾つかの検査法を研究中ですが、少なくとも保険の範囲内で調べる方法はありません。従って、まずドライマウスなど検査可能な病気の有無を調べ、何も異常がなければ口腔異常感症と判断されます。お近くの歯科医院でドライマウスや口腔カンジダ症の検査を受けられる可能性は低いため、口腔異常感症と診断されることはないかもしれません。
また、口腔異常感症は治癒が多い病気です。自然に治ることもありますが、いつになるかわからないので放置せずに治療した方がよいでしょう。治療方法は抗うつ薬を用いた薬物療法が中心ですが、漢方薬で改善する場合もあります。他に、認知行動療法という心理療法も効果的です。
2018年11月19日
相談2: (36歳 女性)
お世話になります。御返信ありがとうございます。治ると聞いて一安心しました。何度も質問申し訳ないのですが御教示お願いできますでしょうか?まずはアドバイス頂きましたドライマウスについて検査受けようと思います。受診する歯科は近所の歯科だと、ちゃんとした診断がされないとのことですが、ドライマウスを取り扱っている歯科ならば、ちゃんと調べて頂けるのでしょうか?それとも、口腔異常感症を専門にされている歯科でないと、ちゃんとした診断がされないのでしょうか。
回答2:口腔内科 樋口均也
口臭治療を行っているEBACというグループに所属している歯科医院にかかればドライマウスの検査をしてもらえます。
https://www.honda.or.jp/clinic/
ドライマウス研究会のホームページに掲載されている歯科医院でもドライマウスの検査をしてもらえる可能性が高いと思います。
http://drymouth-society.jp/