五行理論によると、肝は春の性質を持ちます。肝がその働きを主る(つかさどる)「疏泄」とは、春に草木が芽を出してのびのびと育っていく様子のことです。人体に当てはめると気血が正しく運行し、脾胃が正常に働くことです。また、精神的な働きが正常に行われることを指します。
肝の働きにより気が体の隅々まで巡り、その気の働きにより血や津液も巡るようになります。肝は脾胃の働きを扶け(たすけ)、飲食物の受納と運化が正常に行われるように働きかけます。肝は情志活動が正常に行われることにも関与します。喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の感情である情志は肝に調整されることにより、精神・意識・思惟活動が正常に行われます。
疏泄の不及で肝気鬱結、肝鬱血瘀が生じ、疏泄の大過で肝火上炎、肝気上逆が生じます。疏泄が過剰でも不足でも実の症状が現れるのです。