2019年2月12日
相談: (49歳 女性)
10年以上前から舌が痺れる様に痛みます。辛いキムチを食べた時の痺れに似た痛みが常にあり、次第に痛みが強くなっています。
12年程前に総合病院で診察を受けて原因が分からないと言われました。その2年後、舌が腫れあがりました。口を閉じる事が出来ないくらいに腫れ、舌の先は血豆の集合体のようなものが出来、出血が止まりませんでした。別の病院で診察を受けましたが、原因不明と言われ、漢方薬を処方され、1週間程で腫れは治まりました。以来、舌の先には血豆の集合体のようなものが残り、舌の痛みは食事中だけではなくずっと続いています。
最近一年の間に痛みがさらに強くなり、毎日の食事が痛くて辛いだけに感じています。生野菜を食べるだけで涙が滲むほど痛みます。でも原因不明と言われるのが怖くて病院に行けません。何か、手掛かりを掴むことが出来たなら、と思い、相談致します。亜鉛や鉄分補給のサプリメントを2年程続けていますが、効果は無いようです。1年前くらいから、舌の表面も血豆の集合体のようなものが出来ています。
どんな原因が考えられるのか、どういう病院でどんな診察を受けると良いのか、分かる範囲でかまいませんので、何か教えて下さい。
回答:口腔内科 樋口均也
舌の先に何かができて痛んでいるようですね。診察していないので断言できませんが、珍しいケースなので、12年前に総合病院で診察を受けられた際にはわからなかったのでしょう。
舌の先に血管腫か血管奇形が生じている可能性があります。血豆のようなものは、血管が増殖したり膨張したりした状態ではないかと推察します。血管の異常により血栓が生じたり、血管が膨れあがったり、血管が周囲の神経を圧迫したりして痛みが生じていると考えられます。
10年前に口を閉じられないほど舌が腫れた件については、病変部の感染や傷ついて内出血したことによる腫れが考えられます。血管腫であっても血管奇形であっても、手術で病変を取り除く必要があり、事前にCT、MRI、超音波断層撮影(エコー)、血管造影、病理組織検査でどのような病気であるかを調べる必要があります。
2019年2月14日
相談2: (49歳 女性)
お忙しい中、早々の返信ありがとうございます。血管の異常という解釈をしましたが、なんとなく納得のいく状況です。今のように酷くなる前は、舌の先端に小さな血豆が10個くらい現れては、その部分が白くなるという現象を繰り返していました。白くなってもその部分に感覚があり、軽く歯で噛んでみると痛みを感じるという状態でした。
今は、舌の先端部分(よく舌の味覚を感じる図で表される甘味を感じる範囲くらい)の裏側にビッチリ血豆が集まっている状態です。そして、舌の表面にも小指の先くらいの範囲で血豆の集合体が2、3ヶ所出来たり小さくなったり数が減ったりという具合です。
珍しい症例という事ですが、診察を受けるならば専門医の方が良いのでしょうか。口腔外科の病院ではインプラントとか歯科矯正とかを主軸におく病院が目立ちますが、そういった病院でも正しい診察を受けられるのでしょうか。それとも、大学病院のような総合病院の方が良いのでしょうか。
食事が辛くなると、生きていくのも辛くなってしまいます。手術が必要となると仕事の兼ね合いもありますが、春までにはどこかで診察を受けたいと考えています。度々ご迷惑かと思いますが、適切なのはどちらかアドバイスをお願いします。
回答:口腔内科 樋口均也
血管の異常であれば画像検査が必要となり、大学病院や総合病院でのみ検査が可能です。手術や塞栓療法の治療についても、大学病院や総合病院に入院して受けることになります。
2019年2月15日
謝辞: (49歳 女性)
お返事ありがとうございます。まずは総合病院で診察を受けてみようと思います。詳しい説明をして下さり、本当にありがとうございます。手術をするならば仕事復帰のタイミングも考慮して、GW前には治療を済ませられたならと思っています。
これまでも幾つかの医療相談サイトに相談しましたが、口腔外科に行って診察を受けて下さいとの回答しか得られませんでした。今回、先生からの回答は、本当に心の励みになりました。感謝致します。心から、ありがとうございました。
2019年3月11日
謝辞2: (49歳 女性)
お久しぶりです。先日、舌に血管腫のようなものが出来て痛みがあるという症状で相談を受けて頂いた者です。
あれから総合病院へ行き、血液検査、病理検査を受けました。病院の見解としては、血管腫、あるいはリンパ管腫ということでした。他にも私は以前から貧血が酷く、年1回の検診でもD判定が出る程鉄欠乏性貧血でした。血管腫やリンパ管腫では舌に痛みは出ない筈で、貧血によって舌が腫れたり痺れたりすることもある事から、暫くは貧血を重点に治療しましょうという事になりました。
3/2から痛み止め、胃薬、鉄剤の処方を受け、3/11現在、血管腫のように赤くただれた部分がかなり良くなっています。なにより、痛み止めのおかげなのか味覚が大分改善され、塩分の感じ方が変わりました。味覚がおかしいのは以前から自覚していましたので、料理をする際はレシピ通りの分量で調味するように気をつけていましたが、同じものを作ってもかなり味の感じ方が変わりました。それが今、一番うれしく思っています。
原因不明と思って耐えていた痛みが、原因を解明する糸口が見え、改善する見込みがみえてきた事は、生きる希望につながりました。先生が私の悩みに応えて下さったからこそ、病院に行く決心がつきました。先生のおかげです。本当にありがとうございます。
総合病院の先生も仰っていましたが、本当に稀な症状らしいので、今回経過を報告しようと思いました。私と同じような症状で悩んでいる方がいましたら、少しは何かの手掛かりになればと思います。完治まではまだまだ長い時間が必要かと思いますが、何か変化があったら、また報告させて頂きたいと思います。これが、先生への恩返しになればと思っています。