2019年4月9日
相談: (43歳 女性)
数年前より左のみの副鼻腔炎を繰り返し、耳鼻科の薬で治っていたのが今年は治らず、歯が原因ではないかとかかりつけの歯医者で見てもらったところレントゲンで大丈夫と言われ、銀歯だった左上6番の噛み合わせ調整をしてもらったところ翌日激痛になり、被せをとって治療しようとしましたが痛みと全身倦怠感が続き、耳鼻科でCTを撮ったところ根っこの先に病巣が広がり、骨も一部溶けていて歯性上顎洞炎と診断されました。
紹介された総合病院の口腔外科では抜歯をすすめられ、歯の炎症を抑えるための一週間抗生剤や痛み止めの点滴に通いつつかかりつけで根の治療をしようとしましたがその都度激痛になり、結局口腔外科で左上6番を抜歯しました。
それから3週間近くたちますが、相変わらず毎日風邪を引いているような、発熱しているような倦怠感(熱は37.0位だったり平熱だったりです。)と左小鼻の横の腫れぼったい感じが続き、抜歯した総合病院では抜いてもすぐ治らない、半年はかかるしそんなものだ、鼻の症状がつらいなら耳鼻科に行ってくださいと言われました。
それから5日ほど後にかかりつけの歯医者に行きましたところ抜歯後の治りも悪く病巣が取り切れていないのかもしれないとのことで一度ソウハしました。左の鼻水は出ない日が多くなってはきています。日中ましでも夜中眠ると小鼻の横の痛みで起きる日々で眠れず、ロキソニンが効きません。
夜中の歯ぎしりの癖もあるのでその可能性も含め抜いた歯の前後の噛みあわせの調整をしつつ痛み止めを今日ブレシンに変更していただきました。抜歯のあとの表面は痛くありません。
ちなみに、上顎洞はCTでは綺麗でしたが、骨は一部とけていました。抜歯の際、粘膜は破れていませんでした。抗生剤をいろいろ変更しもう抜歯前1か月、抜歯後1か月近く飲み続けています。抜歯前に総合病院での血液検査では数値に特に異常無し、炎症反応も見られないとのことでした。辛い決断での抜歯、ソウハ、投薬などいろいろな手段を尽くし、それでもなぜ治らないのか少しでも快方に向かってくれないのか悩む日々です。
MRIや精密検査など詳しく検査したほうが良いのかとても悩んでいます。毎日眠れないことが本当に辛いです。家族にも迷惑をかけ、とてもしんどいです。口腔顔面痛というのものを知り、相談させていただきました。わらをもつかむ思いです。お忙しいところ申し訳ありませんがご意見宜しくお願い致します。
回答:口腔内科 樋口均也
かかりつけの歯科で一度は(歯については)大丈夫といわれたにもかかわらず、咬合調整後に激痛が生じたようですが、通常ではおこりにくいことです。歯のエックス線検査や上顎洞のCTで異常が見当たらないのに、歯性上顎洞炎と診断されたことについても腑に落ちません。歯性上顎洞炎であれば、これらの画像検査で異常が見られるはずです。また、原因歯の抜歯を行っても改善しない点にも納得できません。抗生剤や痛み止めが効かないのも異常です。
上記の理由により、歯の感染(むし歯、歯周炎、歯髄炎、歯根腺炎、歯髄炎、歯性上顎洞炎)による痛みとは考えにくい状況です。歯性上顎洞炎という診断に誤りがある可能性があります。
細菌感染による炎症を原因とする痛みではない場合は、筋、筋膜性疼痛、神経障害性疼痛、心原性疼痛、ヘルペスウィルス感染による痛み、頭蓋内の病変による痛み、疼痛性障害、本能性疼痛などが考えられ、これらを総称して口腔顔面痛といいます。