風邪の初期症状に用いられる葛根湯や麻黄湯、桂枝湯は体内に侵入してきた風寒の邪(風邪やインフルエンザ)を温めて追い出す辛温解表剤です。風寒に対する治療法は、張仲景によって2000年前に書かれた『傷寒論』において体系化されました。
辛涼解表剤は風熱の邪に対する風邪薬で、「温病学」の方剤として明および清の時代に発展しました。葉天子は衛気営血弁証を開発し、温暖な地方で流行る温病の病態を解明しています。温病とは風邪やインフルエンザ、腸チフス、マラリア、天然痘、ジカ熱、SARS、コレラ、赤痢、麻疹などが該当します。
温病の原因となる風熱の邪が太陰経(手太陰肺経と足太陰脾経)から侵入すると、太陰は湿と関係するため、肺と碑に湿が溜まることになります。この湿が三焦を通って心房に入ると(逆伝心包)、意識不明やDIC(播種性血管内凝固)が生じる可能性があります。
辛温解表の方剤には銀翹散、桑菊散、清営湯、竹茹温胆湯、白虎加人参湯、桔梗石膏、越婢加朮湯などがあります。生薬としては薄荷、牛蒡子、菊花、板藍根、桑葉、蝉退、柴胡、金銀花、連翹などが用いられます。