大学生の息子が歯の治療のために歯科医院へ出かける前に母親が
「診察券は持った?」「お金は持った?」
と尋ねます。これに対して息子が
「全部用意しているよ」
と答えます。この会話は表面的には「成人」同士の自我状態の会話と見なすことができますが、水面下では以下のようなやりとり(ストローク)が交わされていたかもしれません。
母親「あなたはずぼらでいつも忘れ物をする。今回も忘れてるんじゃあないの。」
息子「母さんはいつも僕を子ども扱いする。ちゃんと用意できてるよ。」
この交流は心理的には母親の「親」の自我状態と息子の「子ども」の自我状態の交流が展開されています。このような表面的な交流部分を「社交レベルの交流」、隠された内面の交流部分を「心理的レベルの交流」といい、2種類のメッセージが伝えられる交流を「裏面交流」といいます。