ラケット感情に対して、相手から何らかのストロークを得ようとする行為を「ラケット行動」といいます。ラケット行動をとる人(ラケッティアー)がラケット感情を表すと、相手から何らかのストロークを得ることができます。そして相手がストロークを与え続ける限り、ラケット行動は継続されるのです。
ラケット行動は「親」と「子ども」の間の並行交流を伴います。ラケッティアーが子どもの立場の場合は2種類、親の立場の場合が2種類、合計4種類のラケット行動に分類できます。
無力
悲しげで同情を誘う言動によりストロークを得ようとします。これに対して相手がネガティブな「養育的親」の立場で応えます。
ラケッティアー
「最近、食べ物の味がよくわからなくなってきたの」
相手
「それは困ったことだね」
ラケッティアー
「歯がぐらぐらしてきて物を噛めなくなってきたの。そのために味がわからないのだわ。こうなったらもうどうしようもないわね。こんなふうにして人生は終わっていくのでしょうね」
相手
「嘆かわしい現実だね」
ガキ
ブツブツと泣きごとを言ってストロークを得ようとします。これに対して相手がネガティブな「支配的親」の立場で応えます。
ラケッティアー
「この肉は硬くて食べにくいなあ」
相手
「十分軟らかくしたつもりよ。私の調理法にケチをつけるつもりなの」
ラケッティアー
「先週から入れ歯が壊れていて噛めないんだよ」
相手
「どうしてすぐに入れ歯を治してもらわなかったの。歯医者に行かなかったあなたが悪いんでしょ」
援助
ネガティブな「養育的親」の立場から、「子ども」の自我状態にある相手から感謝のストロークを得ようとします。
ラケッティアー
「朝起きてちゃんと歯磨きした?」
相手
「今朝は起きるのが遅かったからまだできていないんだよ」
ラケッティアー
「歯磨きしないと『口が臭う』といわれてしまうよ」
相手
「もう出かけないといけないし、困ったなあ。口臭用のスプレーだけかけておくよ。これで大丈夫かなあ」
ボス
ネガティブな「支配的親」の立場で、「子ども」の自我状態にある相手から言い訳がましいストロークを得ようとします。
ラケッティアー
「今日は顔が腫れているようだぞ。どうしたのだ」
相手
「右下の親知らずが半分埋まっていて、ときどき炎症を起こすのです。ひどくなると顔も腫れてきます」
ラケッティアー
「放っておいちゃダメじゃないか。すぐに歯医者に行って診てもらえ」
相手
「歯医者に行くと親知らずを抜くようにといわれるのです。抜くのが怖いから歯医者に行けません」
ラケッティアー
「いい大人が怖がっていてどうするのだ。さっさと電話しろ」