2020年9月5日
相談: (46歳 女性)
初めまして。歯の自己紹介ですが、ほとんど治療跡のない歯がないくらいむし歯歴は多数あり抜髄済みの歯も数本あります。また、歯ぎしりが強いと歯科医には言われています。
(相談内容)
2週間ほど前から、右上第二小臼歯付近、数本が痛み出し、夜も眠れないくらいになったため、歯科を受診しました。一カ月前に、その手前の右上第一小臼歯が欠けて治療したばかりであり、その歯の中がぼろぼろで深く削ったため(むし歯ではなくもろくなっていた)、原因はそちらの歯でしょうとのことで、第一小臼歯の神経治療を開始しました。
第一小臼歯は歯ぎしりのため神経が細くなっており、神経が見えないくらいのため、器具が入らないとのことで深く削られました。しかしその後も右上第二小臼歯、およびその付近の痛みは治まらず、右上第一大臼歯や右下の臼歯複数も痛みを感じるような状況になり、4日後に結局第二小臼歯も同時に神経治療するにいたりました。現在もその2本の神経治療継続中ですが、痛みは治まっていません。既に神経のない大臼歯に痛みを感じることもあるため、抗生物質も飲んでいます。
痛みは、飲食で誘発されることもあれば、何もなくとも痛み出すこともあります。1~数時間に1回、数分~数十分の痛みが続き、痛み止め(イブクイック)もあまり効かなくなってきたようです。右下の第一、二小臼歯、第一臼歯も強く痛み出し、時には前歯も痛みを感じるなど、時により痛む場所は変わります。
原因はいったい何なのでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
回答:口腔内科 樋口均也
複数のむし歯が同時多発的に痛み出したと考えることもできますが、その可能性は低いでしょう。それよりも可能性が高いのは、痛みの原因となる歯が1本あり、周囲にその痛みが拡がっていること、そして歯とは関係のない痛みが生じていることです。
前者は痛みの原因となる歯を特定し、適切な治療を行うことが対策となります。既に治療を始めている歯が原因である場合は、今までの治療で痛みの原因が取り除けていないと推察します。根管が狭窄している、根が弯曲しているといった理由により治療が困難であれば、抜歯せざるを得ないでしょう。顕微鏡下で治療すれば改善されるかもしれません。
歯に原因がないにもかかわらず、歯が痛む場合もあります。筋・筋膜性疼痛、神経障害性疼痛、上顎洞炎、ヘルペス性歯髄炎、群発疼痛、発作性片側頭痛、顔面片頭痛、疼痛性障害、本態性歯痛などが該当します。このような歯痛の有無について詳しく調べ、どのタイプの歯痛が生じているのかが特定できれば、それに応じた治療を行うことが可能となります。