30代 女性 団体職員(事務職)
主訴
声が出にくい
現病歴
5年前に歯列矯正を開始し、しばらくして声が出にくくなったが、放置していた。1年前に症状が増悪したため、耳鼻咽喉科を受診し、気管支炎、咽頭炎と診断され、プレドニン、パロチンなどが処方された。しばらく服用したが症状が改善せず、動悸が生じたために内服を中止し、通院を中断した。次いで別の耳鼻咽喉科を受診し、麦門冬湯を処方されたが症状の改善がないため、通院を中断した。のどの渇きを自覚し、これが声の出にくい原因ではないかと考えて来院した。
既往歴
アレルギー性気管支炎 治療は受けていない
現 症
見える範囲では咽頭粘膜に異常なく、舌や咽頭の動きも正常で、口腔粘膜の乾燥も認めない。会話時に聞き取りにくい感じもない。食いしばり癖、上下歯列接触癖を認めた。156㎝、47㎏
検 査
安静時唾液分泌量 0.7ml 10分、刺激唾液分泌量 5.8 ml 5分、口腔粘膜湿純度 23.9抗SS A抗体、抗SS B抗体 いずれも陰性、他の血液検査項目も正常範囲内
診 断
発声障害、ドライマウス
問 診
のどがひどく乾く、口は乾かない、寝ているときに口呼吸している、口が苦い、肩こりがひどく、頭痛もある、疲れやすい、息切れがする、顔色が青白い、冷え症、むくむ、イライラしやすい、咳や痰が長く続く、のどが不快、二便正常、食欲あり、憂鬱、目が乾く
所 見
無苔、舌質紅
弁 証
心腎陽虚
処 方
桂枝加竜骨牡蛎湯、併せて上下歯列接触癖に対する行動変容療法、唾液腺マッサージを開始
弁 証
心腎陽虚
処 方
桂枝加竜骨牡蛎湯、併せて上下歯列接触癖に対する行動変容療法、唾液腺マッサージを開始
経 過
4週間後、症状変化なし
弁 証
心腎陽虚、血虚
処 方
当帰芍薬散、麦門冬湯
経 過
4週間後、声が出やすくなった。その後も同処方を継続