ひぐち歯科、口腔外科・口腔内科メディカルインフォメーション |

電話:072-646-8445

薬剤性顎骨骨髄炎の治療法

2023年10月30日

相談: (47歳 男性)

初めまして、薬剤性顎骨骨髄炎について質問です。現在前立腺癌の骨転移の治療を7月よりおこなっております。ランマーク骨吸収剤を使用するにあたり、歯科健診を行った際、右下に3分の2程埋没した親知らずがあった為、抜歯した方が良いとの事で抜歯しました、斜めに生えていたため骨を削る手術となりました。その後並行してランマーク治療が始まりました。1カ月後経っても抜歯部の痛みが治らないので歯科医に訴えましたが、治りが悪いとの事で様子見、2カ月経っても治らず、3カ月後も痛みはひかず、先日骨髄炎の診断を受けました。

治療は酷くなるまで待って手術するしかないと言われました。おそらくまだ初期段階だと思うのですが、何か治癒に向けた治療法は本当に無いのでしょうか?拙い文面で申し訳ございませんが何卒よろしくお願いします。

回答1:口腔内科 樋口均也

ランマーク(一般名デノスマブ)は骨の新陳代謝にかかわる破骨細胞の働きを抑制し、骨が溶けることを防止する薬です(骨吸収抑制薬)。前立腺癌の骨転移によって、転移巣周囲の骨が溶けてなくなることを防ぐために使用されているのでしょう。

前述したように、ランマークには骨の新陳代謝を抑える働きがあるため、薬剤関連顎骨壊死が生じることがあります。現状は親知らずの抜歯後に薬剤関連顎骨壊死が生じ、傷口が塞がらずに骨がむき出しになっている状態(骨露出)であると推察します。

薬剤関連顎骨壊死が生じた場合には、骨露出面を定期的に清掃して細菌感染を防ぐ必要があります。このような対応がなされていない場合は、骨露出面の清掃を依頼されることをお勧めします。

薬剤関連顎骨壊死が進行すると、壊死した部分の骨が分離する現象が生じ(腐骨分離)、腐骨除去術という比較的簡単な手術によって一段落します。一方、腐骨分離もせず痛みが続くような場合には、壊死した部分の骨を切り取る手術(顎骨切除術)が必要となります。

手術なしで薬剤関連顎骨壊死を治療する薬として、副甲状腺ホルモン製剤のテリパラチドがあります。一度、相談されるとよいでしょう。

相談2: (47歳 男性)

御丁寧なご返信誠にありがとうございます。再度の質問お許しください。顎骨骨髄炎についてですが、現状私の状態からみて、初期とは言われておりますが、いかがでしょうか。

某病院口腔外科等では、初期であれば徹底した口腔管理等で治癒も可能とありましたが、治癒は可能でしょうか。また手術(炎症部の骨切除)をした場合に治癒は可能なのでしょうか。
何卒ご教示頂けますと幸いです。

回答2:口腔内科 樋口均也

初期ということであれば、治癒もあり得ると思います。しかし、本当に初期と確認できているのでしょうか。骨シンチグラフィーは実施済みでしょうか。まだであれば、一度骨シンチグラフィーを受け、現在どのような段階にあるのかを確認してもらった方がよいと思います。

ページの一番上へ