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歯根嚢胞に対する開窓療法

2024年7月8日

相談: (59歳 男性)

お世話になります。下顎7番のクラウンに大きな歯根嚢胞を10年以上前に歯科で指摘され、それから1年程歯科では大きさは変わないと言われてその後歯科には別の歯の治療しか通っていません。その後はその歯の歯茎にたまにフィステルが出来ては潰れるを繰り返していています。

色々と調べて見るとフィステルが出来潰れると言う事は大きさに変化は少ないと聞きました。私は10年前に交通事故で左半身に少しの麻痺と痺れが残ってしまいました。嚢胞摘出すれば神経に近接している為に下顎に麻痺が残る可能性があると言われました。なので出来ましたら開窓術をしてもらえるなら非常に助かります。開業医の先生にして頂けるものでしょうか。大きな病院の先生にもお願い出来ますか。たくさん質問してしまいましたがお答えもらえますか。よろしくお願いします。

回答:口腔内科 樋口均也

歯根嚢胞があり、排膿するための通路としてフィステル(サイナス・トラクト)が生じているようですね。大きい歯根嚢胞であっても根管治療(歯内療法)は可能で、歯内療法により大きな歯根嚢胞が消失した症例もあります。まずは歯内療法が可能か否かについて相談されることをお勧めします。

歯内療法により改善しない場合には、歯根嚢胞の摘出を検討することになります。その際、歯根嚢胞が下顎管を抱き込むように拡がっている場合は、摘出時に下歯槽神経に傷が付くリスクがあります。万一下歯槽神経が傷つくと、麻痺が永続することもありえます。

神経の損傷を避ける方法として、嚢胞開窓術があります。嚢胞をすべては摘出せず、神経に近い部分を残して他の部分を摘出し、傷口(創部)を縫合しないで開放しておく方法です。一部を摘出した嚢胞腔にはガーゼを詰めておき、定期的に交換しながら嚢胞腔の縮小を待ちます。

上記の治療は大きな病院の口腔外科で受けることができます。口腔外科を専門とする開業医でも可能かもしれません。

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