疼痛性障害の治療法
疼痛性障害に対しては外科的な処置を行っても意味がないどころか、むしろ症状を悪化させてしまうだけの結果となります。従って、現時点で疼痛性障害に対して有効であるといえる治療方法は、心理療法(サイコセラピー)と抗うつ薬による薬物療法です。
(2)薬物療法
疼痛性障害は、脳内の神経伝達の異常や脳機能の不調によって生じる病気であることから、直接脳に働きかける薬が最も効果的です。従って、抗うつ薬を用いた薬物療法を行います。使用する抗うつ薬は三環系あるいは四環系が中心となりますが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を投与する場合もあります。ただし、SSRIと並んでうつ病に有効とされるセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)に関しては、現在まで効果を表すデータが揃っていません。
疼痛性障害の薬物療法は、まず三環系抗うつ薬あるいは四環系抗うつ薬を単独で低用量の投与からスタートし、徐々に増量していきます。基本的に効果が現れるまでは薬剤の量を増やしていきますが、たとえば三環系抗うつ薬では便秘や口の渇きなどの副作用が見られるケースもあるため、それらを考慮しながら行うことになります。また、たとえ治療開始後1ヶ月で回復の兆しが見られたとしても、それまでと同量の薬剤を6〜12ヶ月間は服用する必要があります。疼痛性障害は、一度よくなったように見えてもまた同じ症状が現れやすい病気です。従って、できるだけ再発を避けるためにも、一定期間の治療を継続することが重要なのです。
一方、どうしても精神に働きかける薬に対して抵抗感を持つ方や副作用を恐れる方には、副作用が少なくて効果的な漢方薬を使う方法もあります。