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口腔粘膜の病的変化には潰瘍や腫瘤形成、色調の変化などがあります。しかし中にはがん化するものもあり、2007年のWHOの報告では8種の病変が挙げられています。
がん化する恐れがない口腔病変
白板症
口腔粘膜が白くなる病気です。通常、口腔粘膜の表面は平坦で滑らかな形状ですが、中には顆粒状の盛り上がりや平板状の隆起、潰瘍が見られるケースもあります。
紅板症
口腔粘膜が赤くなる病気です。周囲の粘膜とはっきり区別できる鮮やかな赤色で、白板が入り混じる場合もあります。表面はツルッとしていますが、中には隆起や潰瘍が見られる病変もあります。また、手や刺激物が触れると痛むケースがほとんどです。
タバコを逆向きに吸う喫煙者の口蓋病変
タバコの火が付いている部分を吸う習慣のある人に見られ、口蓋粘膜が灰白色に変化したものです。
粘膜下線維腫
口腔粘膜に白くがさがさした筋状の膨らみが生じ、徐々に弾力性が失われて硬くなる病気です。アレカナッツや赤唐辛子、噛みタバコなどの嗜好があると生じやすくなります。
日光角化症
日焼けにより口唇粘膜が赤くなり、表面がざらざらしたり盛り上がったりする病気です。
扁平苔癬
主に頬粘膜に現れるレース状や網目状の白色病変です。周囲の粘膜が発赤し、しみて痛むことが多い病気です。
円板状エリテマトーデス
丸く赤い円板状の病変の周囲に放射状の白線が現れたものです。粘膜局所の抗原刺激や物理的刺激により、リンパ球が免疫反応を起こして生じる病変です。
遺伝性疾患(先天性角化不全症、表皮水疱症)
先天性角化不全症は口腔粘膜の白板症の他、爪の萎縮や皮膚の網状色素沈着を伴う遺伝性の病気です。中でも表皮水疱症は、口腔粘膜に水疱やびらんが発症する遺伝性の病気です。
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- WHO口腔癌及び前がん病変共同研究センター 出典
- Nomenclature and classification of potentially malignant disorders of S. Warnakulasuriya, Newell. W. Johnson, I. Van Der Waal
- Journal of Oral Pathology & Medicine, 36, p575?580, November 2007
がん化する恐れがない口腔病変
白色海綿状母斑
口腔粘膜の広い範囲でひだ状、しわ状になる生まれつきの白色病変で、常染色体が優性遺伝します。口腔粘膜のほかに、鼻腔粘膜、直腸粘膜、膣粘膜などにも同様の病変が見られますが、病変が悪性化することはなく治療の必要はありません。
白色水腫
黒人の大多数に見られる口腔粘膜の灰白色の変化で、白人の半数にも見られます。両側の頬粘膜に好発し、軟口蓋や口底部にも生じることがあります。原因は不明ですが、喫煙により病変が悪化しやすく、局所への刺激、悪い口腔衛生状態や香辛料などが関連しているとされます。悪性化することはないため治療の必要はありませんが、禁煙により症状が軽減します。