30代 男性
口腔乾燥を主訴として来院した。2週間前から唾液の分泌量が少なく、出てきた唾液はネバネバし、透明の唾液が出ず泡々になるといった症状が続いていた。ドライアイもあり眼科にて治療中であった。初診時に口腔粘膜は乾燥し、歯牙接触癖を認めた。歯や歯肉には問題を認めなかった。
唾液検査
- 安静時唾液量:0.3ml/3分 (正常値1.2ml以上)
- 刺激時唾液量:2.1ml/5分 (正常値7.5ml以上)
- 黄濁:(++)
- 沈殿率:0%
血液検査(シェーグレン症候群の特異的抗原)
- SSA(−) SSB(−)
病理組織所見
- 番号同定のない2個の標本。被膜を持たない、粘液線が優勢の唾液腺組織。ごく軽度の小円形細胞浸潤があるが、リンパ濾胞形成なし。好中球の浸潤もなし。好中球の浸潤もなし。線維化もみられない。Greenspangrade:Grade1
- 麦門冬湯を2週間分処方した。口の渇きが少しマシになったが、効果が長続きしないということであった。唾液腺マッサージを指導し、柴朴湯を追加した。2種類の漢方を飲み続けたところ、唾液のネバネバ感が大分ましになり、唾液量が増えた感覚がでてきた。会社内でストレスがあったり、緊張したりすると乾燥が気になる程度であった。
3ヵ月後の唾液検査
- 安静時唾液量:1.5ml/3分 (正常値1.2ml/3分)
- 刺激時唾液量:3.5ml/5分 (正常値7.5ml/5分)
- 白濁;(+)
- 黄濁:(−)
- 沈殿率:0%
数値的にも改善傾向にあった。口腔内も大分楽になり食事も苦もなく摂れるようになったが、起床時に口腔乾燥が気になる時があるため、マスクをして寝るようにした。
病理組織写真 |