トリプタノールは長期間服用するケースが多い薬ですが、胃を荒らさず肝臓や腎臓に対する負担も少ない比較的安全な薬です。口の乾きや便秘、眠気などの副作用はよくみられますが、飲み方の工夫および副作用を抑制する薬の併用などによって対応が可能です。しかし稀に重大な副作用が現れる場合もあるため、そのような症状が疑われる場合は担当医にすぐご相談ください。
口腔乾燥(抗コリン作用)
最も多い副作用で、唾液腺の上皮細胞の収縮が抑えられることにより唾液の出が悪くなります。対応としては水分摂取や舌の運動、唾液腺マッサージ、海藻などのぬめり成分を多く含む食品の摂取、マウスリンスやマスクの使用が有効です。
眠気(抗ヒスタミン作用)
服用初期によくみられる副作用です。夕方に内服することで日中の眠気の出現を抑えることができ、睡眠剤としての利用も可能です。ただし、自動車の運転などには注意が必要です。
便秘(抗コリン作用)
便秘体質の方によくみられる副作用です。線維性食品の摂取や運動などで対応します。
排尿困難(抗コリン作用)
膀胱を収縮させる腟孔括宅筋の働きが低下し、目がかすんだりまぶしく感じる場合があります。
手足の震え(ドパミンD2受容体遮断作用)
ジストニア、シスキネジア、アカシジアなど錐体外路症状といわれる副作用が出現する場合があります。手足の震えが現れたら、薬の減量や中止が必要となります。
体重増加(抗ヒスタミン作用)
胃酸の分泌が抑制されるため、食欲が増加します。満腹感を得にくく体重が増えやすいため、食事の量に注意してください。
不整脈(キンジン様作用)
心筋のナトリウムチャンネルを阻害することにより、心臓の収縮を遅らせます。定期的に心電図をとって監視する必要があります。
めまい(アドレナリンα1受容体遮断作用)
血管が格張し血圧が下がるため、めまいや立ちくらみが生じやすくなります。転倒しないよう注意が必要です。
悪性症侯群(ドパミンD2受容体遮断作用)
稀に起こる副作用として、発熱や筋肉のこわばり、ふるえ、昏睡などがあります。重症化すると生命に危険が及ぶため薬の服用を中止し、循環器や呼吸器など全身の管理を行う必要があります。
セロトニン症侯群
発熱、発汗、吐き気、筋肉のけいれんやこわばり、錯乱などの副作用が生じた場合は、脳内のセロトニンの働きを抑える薬を使用します。
離脱症状
急に服用を中止すると頭痛や吐き気、倦怠感、不眠などの症状が現れますが、服用を再開すれば症状は治まります。離脱症状を起こさず服用を中止するためには、薬の量を段階的に減らしていくことが必要です。