口臭に関する研究発表

口臭に関する研究発表
では、ここで「アジア予防歯科学会」について少しご紹介しましょう。この学会には東アジアと東南アジア、南アジアに在住する予防歯科、および口腔衛生分野の研究者が所属しています。国際大会は2年に一度開催され、前回は韓国・済州島。この学会で私は「口臭の官能検査(鼻で嗅ぐ臭いの検査)」についての発表を行いました。
さて、今回の私の発表テーマは「口臭治療に関する2つの研究」で、タイトルは「患者が自覚する口臭の強さ」と「口臭と関連する諸問題」です。前者ではまずVASという口臭調査方法を集計しましたが、VASとは「visual analogue scale」の略号で、
4cmの1本の横線が書かれた調査用紙を用いて行います。線の右端は口臭が最も気になる状態、左端は全く気にならない状態として、その時々の程度を患者様に×印で線上に記入していただきます。こうして口臭の自覚程度を集計し、一日の中の時間帯による変化を調べました。また、口臭治療の前後でどのような変化を示すかについても調査しました。その結果、口臭は起床直後が最も強く、就寝前が最も弱くなることが判明しました。また、ほんだ式口臭治療によって口臭が改善されることを、数値で明確に証明することができました。
そして、次の「口臭と関連する諸問題」では、口臭外来に来院する患者様の口臭に関する悩みや不安の多様性について明らかにしました。口臭に悩む方が抱える症状は、お口の臭いだけでなく、ネバネバ感やほてり、乾き、苦味、すっぱさなど多岐にわたるケースが多く見られます。また、口や鼻を手で覆う、鼻をこする、上体を後ろに反らす、咳払いするなどといった周囲の人の仕草や態度もまた、口臭への不安を引き起こすきっかけとなるのです。
今回は、これら2つの議題をポスター形式で発表しました。ポスター形式とは、研究内容を模造紙の大きさ(81cm×106cm)にまとめて壁に張り出すスタイルです。一般的な発表では、聞き逃しや他の発表とのかち合いのために講演を聞けない場合がありますが、ポスター発表なら学会参加者がいつでも都合のよい時間に、自分のペースで見てまわることができます。
ポスターも時代とともに進化しています。たとえば従来のポスターは紙に印刷されていたため、しわが寄らないよう細心の注意を払って学会会場まで運ぶ必要がありました。それにポスターをスーツケースに入れることができないため、海外の学会では手荷物としての運搬を余儀なくされ、とても大変だったのです。しかし、最近は布への印刷が可能になり、折りたたんでもしわが目立たず、持ち運びも容易になりました。実際、今回は布ポスター製作の依頼から内容の打ち合わせ、完成に至るまでの全過程をメール通信のみで行い、3日後には東京の業者から宅配便でポスターが届いたという運びです。技術は本当に日進月歩を遂げているのですね。

患者が自覚する口臭の強さ

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