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「クリニックの移転を終えて」

個室制にこだわる個室制

旧医院の開業時には、限られた区画でどのように診療室や待合室、受付などを配置するかについてあれこれと悩んだものです。まるで美容院のように歯科用チェアが横一列に並んでいる歯科医院を多く見かけますが、医院の方針上これは論外です。診療行為は散髪やヘアメイクとは根本的に異なり、個人のプライバシーを守る必要があります。隣りの治療が何もかも見えてしまうような診療室は絶対にNGです。移転に当たっても、この「診療室=個室」を何より優先しました。

しかしながら、個室にはさまざまなメリットがある一方、診療室ごとに一定の面積が必要になります。そのため受付や器具の滅菌スペース、院長室はかなり狭くなり、機械や材料を収納するスペースも十分には確保できませんでした。ですから今回の移転では、広さを100%活用することが大きな課題でした。理想的な歯科医療サービスを実現するためには、診療室を個室化するだけでは足りません。診療のためのスペース、機械や器具など設備のためのスペース、来院された患者様が快適に過ごしていただくためのスペース、さらにはスタッフのためのスペースだって必要です。作業効率を高める動線を描きながら、頭の中でシミュレーションを繰り返す日々が始まりました。

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