アジア予防歯科学会の様子
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アジア予防歯科学会のメイン・テーマはもちろん予防歯科であり、今回も虫歯や歯周病の予防を中心として口腔ガン、摂食・嚥下障害、口腔粘膜疾患などの臨床的な研究発表が相次ぎました。しかし、中には歯や細菌などについての基礎医学的な発表も見られ、口腔衛生の分野では栄養状態や学校教育と歯科疾患との関連性が中心テーマとなりました。
また、政府(保健省、教育省)の役人を兼務する医師や歯科医師が行った発表では、「今後の歯科保健政策をいかに進めていくか」が議論され、興味深く拝聴した次第です。
しかし、このような国際学会においていつも問題になるのが英語です。学会発表は全て英語で行われます。従って、スライドの文章を目で追うことはたやすいのですが、聞き取りが大変でとても疲れました。地元マレーシアをはじめ、シンガポールやインド、香港の研究者はみなとても流暢で早口の英語を話しますが、タイ人や中国人の英語があんなに堪能であることについては新発見でした。
また、今回は日本から大阪大学や東京医科歯科大学、岡山大学などの教授やその教室に在籍する研究者が数十名参加されており、それらの先生方との交流は今後の研究にとても役立ちそうです。また、韓国や中国、モンゴル、開催地マレーシアの先生方とも知り合いになり、情報交換できたことは貴重な収穫でした。私が所属する「ほんだ歯科提携クリニック(EBAC)」からは本田俊一先生を筆頭に30名近くの先生方が参加し、「ほんだ歯科口臭治療」に関する9つの演題を発表しましたが、聴衆からの反響も大きく、大変有意義で充実した時間となりました。
特に印象に残ったのが、2日目の夜催された学会主催のディナー&パーティーで、各国の参加者がそれぞれの民族衣装に着替えて参加しました。舞台ではマレーシア人の楽団による演奏や舞踊団の踊りのほか、各国の参加者も順番に壇上に上がり、自国の歌や踊りを披露しました。中でも、韓国のグループの出し物は勇ましい太鼓に主導された踊りで、どこか甲子園の高校野球の応援を思い起こさせる躍動感があって、場がフレッシュな息吹にあふれ、聴衆はみな愉快な面持ちになりました。このとき、私たちほんだ歯科グループは日本人研究者を代表して舞台に上がり、「世界の国
からこんにちは」を歌いながら、各テーブルへご挨拶にまわりました。しかし、これほどの盛り上がりを見せた宴会でありながら、イスラム教徒が多いマレーシアではディナーもパーティーもお酒抜きなのです。宗教とは、いかなる場面においても支配力を発揮するものなのですね。
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学会懇親会