鎌状赤血球症の特徴は、虫歯や歯周病に罹患していなくても歯の痛みに悩まされることです。赤血球の形態や機能の異常によって赤血球が細い血管を詰まらせるため、歯髄の血流が乏しくなって痛みや歯髄壊死が発生します。歯の痛みは一過性の強い痛み(痛み発作)の場合もあります。鎌状赤血球症の口腔病変は下記の通りです。
- 歯痛、無症候性歯髄壊死
- 顎骨骨髄炎
- 上顎の前突
- 歯肉の腫大
- 下顎神経麻痺、オトガイ神経麻痺
- う蝕
- 歯周病
鎌状赤血球症では、ヘモグロビンSという異常な形態の赤血球が見られます。通常の赤血球は丸い形をしていますが、鎌状赤血球症の赤血球は三日月型(鎌型)をしています。酸素運搬能力が低く柔軟性に乏しいため貧血になりやすく、細い血管を詰まらせる原因となります。鎌状赤血球症の症状は下記の通りです。
- 貧血、息切れ、疲労感
- 筋力の低下
- 肝肥大、胆石、黄疸
- 痛みの発作、関節痛
- 心肥大、心不全
- 脾腫
- 細菌感染
- 骨壊死
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