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「クリニックの移転を終えて」
歯科用CTの活用
診療面における移転のメリットは計り知れません。何より、歯科用CTの登場で診療の質が明らかにアップしました。2次元のエックス線写真では判明しない問題に対して、3次元のCT画像は手に取るように鮮明に情報を伝えてくれます。
先日、横向きに埋伏している親知らずを抜歯したときのことです。ご存知のように、横向きに埋伏する親知らずの抜歯には手間がかかります。一つ手前の大臼歯に親知らずの歯冠が引っかかり、そのまま引き抜こうとすると手前の大臼歯が邪魔をして抜けません。そのため歯冠と歯根の境界部分で歯を切断したうえ、先に歯冠を取り除き、次に残った歯根を抜く必要があります。
当然その日もこの要領で抜歯を進めましたが、歯の切断時に歯を削る金属性のバーが折れてしまいました。破折したバーの断片を回収すれば済む話ですが、この日に限ってはいくら探しても断片が見つかりません。金属の断片が抜歯窩に残ってもトラブルになるわけではありませんが、体内に異物が残存することは好ましいとはいえません。
金属片を見つけようと抜歯窩の骨内を何度も何度も掻き回し、エックス線写真を何枚も撮って捜索を続けましたが、さっぱり見つかりません。そこでCTを撮ってみると、なんとすぐに在処が判明したのです。てっきり周辺の骨内に食い込んでいると想定していた金属片が、実は頬粘膜の裏側に隠れていました。CTの実力を垣間見た一幕でした。