ホール法
乳歯の複数に虫歯ができている場合に、虫歯を削らずにかぶせ物をしてしまうという治療法です。
通常、乳歯に大きな虫歯があれば麻酔注射をして歯を削り、後で形を整えるために歯を削り足して、最後にかぶせ物を入れます。一方、ホール法では麻酔をせず、歯を削らず、歯の形も整えません。乳歯冠という歯の形をした金属冠の中にう蝕抑制効果のあるグラスアイオノマーセメントを入れ、歯にかぶせるだけで治療が終わります。
この方法は、スコットランドの女性歯科医Dr HALLが開発したためホール法と呼ばれています。きわめて簡単な治療法なので、歯の治療を怖がるお子さんでも治療しやすいことが特徴です。
しかし全く虫歯を削らず、そのままの状態でかぶせてしまって大丈夫なのかと疑問に思われるでしょうが、問題はありません。
ホール法と一般的な削ってかぶせる治療法とを治療から5年後に比較した研究では、ホール法の方が好成績だったという結果が出ています。
このように、ホール法はまるで夢のような治療法のように思えますが、単純にそうとは言い切れません。
この研究は治療対象を注意深く選択し、確かな技術を駆使して行う必要があるのです。
またいうまでもなく、治療後は虫歯にならないように継続的な虫歯予防プログラムを実施する必要があります。
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乳歯に深い虫歯ができている
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虫歯をすべて取り除かず、セメントをつめて乳歯冠を被せる
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ドリルを使わない
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ドリルを使わない
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ドリルを使わない
参考文献
1.Innes NPT, Stirrups DR, Evans DJP, Hall N and Leggate M: A novel technique using preformed metal crowns for managing carious primary molars in general practice – A retrospective analysis. British Dental Journal, 8, 451-454, 2006.
2.Nicola P Innes, Dafydd JP Evans and David R Stirrups: The Hall Technique; a randomized controlled clinical trial of a novel method of managing carious primary molars in general dental practice: acceptability of the technique and outcomes at 23 months. BMC Oral Health, 7, 18, 2007.
3. Ludwig KH, Fontana M, Vinson LA, Platt JA, and Dean JA: The success of stainless steel crowns
placed with the Hall technique. JADA, 145, 1248–1253, 2014.
4. Santamaria RM, Innes NPT, Machiulskiene V, Evans DJP and Splieth CH: Caries Management Strategies
for Primary Molars 1-Yr Randomized Control Trial Results. J Dent Res 93, 1062-1069, 2014.
5. Santamaria RM, Innes NPT, Machiulskiene V, Evans DJP, Alkilzy M and Splieth CH: Acceptability
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