『精神科医はどのようにこころを読むのか』

読書・趣味・家庭 2014年04月15日

恋愛や仕事上の駆け引き、スポーツなどで、相手の心の内がわかればどれほどよいことでしょう。そのような目的で相手の心理を読み取る方法を解説した手引書は幾つも目にしたことがあります。そのようなハウツー本とは異なり、この本には読心術の方法やテレパシーの類は一切出てきません。
精神科医が患者の心を「読む」ためには各種の精神病の特徴をよく理解し、患者がどのような心理状態に陥りやすいかを経験的に、文献的に学習していくことが必要だということです。何のことはない、至極もっともな話です。
それだけにこの本は精神科の日常的な診療風景を垣間見ることができるような気分にさせてくれます。それは勝手知ったもののように思えます。私が普段の診療で考え取り組んでいる方法ととてもよく似ているからです。それだけに、自身の診療内容を整理して考える手立てにも、ヒントがちりばめられた参考書ともなりました。