センテロ・ルミノソ

センテロ・ルミノソの名はペルーの首都リマにある日本大使館公邸占拠事件を起こしたり、国際協力事業団(JICA)の日本人農業技術専門家3人を襲撃して殺害したりしたことで、日本でも有名になりました。
センテロ・ルミノソとは1970年にペルー共産党から分離した共産主義の反政府ゲリラです。『アンデスのリトゥーマ』でも治安警察や村人の生命や財産を脅かす不気味な存在として強い存在感を放っています。
小説の中では長距離バスやアンデスの村、生物保護員を襲う場面が描写されています。長距離バスに乗り合わせた若くて裕福ではないフランス人のカップルは理由もわからずに捉えられます。自分たちは外国人であり、ペルーの政治や社会には何ら関与していない部外者だということを必死で伝えようとしますが、ゲリラたちは聞く耳を持たず、問答無用で石打の刑に処して殺害します。
捉えられた自然保護員達も自分たちは政治とは関係なく、アンデスの自然を守ることだけを求めて活動しているのだということを、言葉を尽くして説明します。その説明をゲリラたちは無表情で聞き流すだけです。
ゲリラの論理は全く異なります。自然保護員たちの考えは全くの勘違いであり、体制側の論理にどっぷりと浸かっているということがわかっていないのだということです。結局は即日裁判の末に全員が処刑されてしまいました。
このような論理とその帰結による死はフランス革命やロシア革命でも読んだ憶えがあります。ポルポト政権下のカンボジアでも多数の知識人が知識人であるというだけの理由で処刑されました。