不定愁訴

学会・研究会 2022年10月05日

今回の談話会講演で同窓会学術部から頂いたお題は「不定愁訴」でした。私の普段の診療では使わない言葉です。どのような意味か、広辞苑で調べてみました。

「他覚的所見に比較して不相応に痛みや不調などの自覚症状が強く,愁訴を説明するに足る器質的疾患の裏づけがない場合を不定愁訴という。不定愁訴の特徴は,きわめて主観的な訴えに終始することにある。さらに,愁訴が多彩で,時期によりその内容が変化したり,また同一愁訴であっても数の増減が認められる。神経筋性愁訴や呼吸循環器性愁訴は訴えの頻度が高く,多愁訴を示しやすいことで知られている。症状への対応には,心身両面からのアプローチが大切である」

「愁訴を説明するに足る器質的疾患」が見つかれば、不定愁訴ではなく、特定の病気となります。その場合はその病気の治療をすればよいわけです。見つからないから不定愁訴というのだと理解できました。しかし、「愁訴を説明するに足る器質的疾患」が見つからなくても、治療なり対応なりはできます。症状を軽くできる場合も多く、少なくとも症状に伴う苦痛や不安、生活上の支障を軽くすることは可能です。

結局、「原因がわからん病気は診たくない」と考える医療者が言い訳として使用するのには便利な言葉だと思います。