前がん病変・前がん状態
口腔粘膜は、皮膚と違って表面に角質層のない柔らかい性状を持ち、表面の角化が亢進すると白くなって「白板症」になります。中でも細胞の形状や大きさ、並び方が不規則(異形成)な粘膜は、血管の色が透けて粘膜が赤く見える 「紅板症」となるケースがあります。
がんとはそもそも細胞の形状や大きさ、並び方が乱れ、正常な組織構造が崩れた状態をいいますが、白板症や紅板症はがんになる可能性がある「前がん病変」であるといえます。言葉がよく似た「前がん状態」は、がんになる可能性が明確に高くなった状態をいい、梅毒性口内炎や口腔扁平苔癬、Plummer-Vinson症候群、口腔粘膜下線維腫症などが該当します。
前がん状態や前がん病変に喫煙や飲酒などの刺激が慢性的に加わると、がん化しやすくなるため、これらの習慣の中止と医療機関への定期的な受診(経過観察)が必要です。また、口腔粘膜の異形成が進むと「上皮内がん」というがんにかかりやすく、速やかな治療が必要となります。