境界なき土地

読書・趣味・家庭 2013年12月20日

発展から取り残されたチリの田舎町のとある1日を描いた小説です。バール兼売春宿で働く娼婦とそこを訪れる客が織り成す物語ですが、登場人物のいずれもが神経症的な謎を秘めています。ラテンアメリカの文学に共通する破壊的な暴力がこの作品にもあります。
著者のホセ・ドノソはラテンアメリカの悪魔的リアリズムの嚆矢です。日本人の持っている「普通」の感覚が足元から崩れていくような異質な世界が繰り広げられます。