竜骨牡蛎剤
腎の虚証には附子剤や地黄丸類を用います。腎の実証に用いるのが竜骨牡蛎剤です。腎の実証とはあまり使わない概念ですが、TAO東洋医学研究会講師の小林宏先生はこの分類法を用いられます。
心と腎の陰陽はお互いにバランスを取り合っています。すなわち腎陰は心に陰を供給して心陰を補い、心陽は腎に陽を供給して腎陽を補います。腎の陽が亢進すると心陽が過剰となって心火が生じ、動悸、血圧上昇、不眠、イライラ、パニックが生じます。
竜骨牡蛎剤は腎陽亢進に起因する心火を鎮め、動悸、血圧上昇などの症状を治します。陽気が頭部に上昇すると、頭痛、めまい、ふらつき、多汗、ほてりが生じますが、竜骨牡蛎剤はこれらの症状も改善します。
竜骨牡蛎剤は竜骨(大型哺乳動物の化石化した骨)、牡蛎(カキの殻)を用いる方剤で、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝乾姜湯がこれに当たります。竜骨も牡蛎も比重が重く、上昇した陽気を下げる働きがあります。