脈診と舌診

お寺の祭壇の周囲には医院の受付や薬局、占いコーナーなどが各所にあり、受付では人々が列を作っています。申込みを済ませて30分ほど読経の様子を眺めていると、名前が呼ばれました。診察の順番が来たようなので2階に上がり、ダワーンさんと一緒に診察室の中に入りました。部屋には30歳前後の男性医師が一人、白衣を着て座っています。
診察前、どこを診てもらおうかと随分思い巡らせました。およそ4年前と1年くらい前に逆流性食道炎による咳や胸焼けが続いたことがありましたが、プロトンポンプ阻害剤(PPI)により今ではすっかり改善しています。しかし時々頭痛がするので、この点について尋ねてみようと心を決めました。
ところが、いざ診察が始まると私の思惑など関係なく、いきなり両腕を取られての脈診です。1分以上念入りに脈を診てもらった後は舌診です。こちらは30秒ほどで終わり、これにて診察は終了。問診はなく、ちょっと肩透かしを喰らった気になりました。
しかし、もっと驚いたのは次の瞬間です。開口一番、矢継ぎ早に出てきた言葉は、「頭痛がありますね」「心臓から頭へ血液を上げる機能が低下しています」「薬を3種類、2週間分処方しましょう」「頭痛以外に悪いところはどこにもありません」。 当たりです。診断能力の高さに畏れ入ってしまいました。中医学で言うところの「心気虚」と診断されたようです。

診察室の前の表札

祭壇の上部の壁に描かれた涅槃図

舌と脈を診れば診断できます。

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