誰も死なない日

読書・趣味・家庭 2022年04月23日

ノーベル文学賞を受賞したポルトガルの作家ジョゼ・サラマーゴの作品です。人口1千万人ほどのある国で正月を境に人が誰も死ななくなったことで起こるドタバタ劇が描かれています。死なないことはよいことですが、重症者や臨死状態の者がどんどん増えていき、病床が逼迫していきます。病院に加えて葬儀会社や生命保険会社、キリスト教教会などが危機的な状況に陥り、政府も右往左往します。

SF小説ではありそうな設定ですが、政治、宗教、哲学、自然科学、芸術の深い思索が散りばめられ、読みごたえがあります。大騒動が突然終息し、その後は不思議なロマンスが始まります。この懐の深さにさすがにノーベル賞をもらうだけあると納得できます。