農村部の世論
かつて政権についていたタリバンは音楽や女子教育を禁止し、手首を切り落とす刑や石打刑を断行しました。その記憶はアフガン人の多くの脳裏に残り、恐怖感を抱く人が多いと思います。しかし、近年農村部を支配していたタリバンはソフト路線を装っていました。そのため、農民(特に男性)には支持されているようです。しかし、その実態についてはマスコミでは流れませんので、私も推測するしかありません。欧米の政治家やマスコミは農民がタリバンを支持しているという不都合な事実を知りたくなかったのでしょう。
欧米とは多少報道姿勢が異なる朝日新聞も沈黙していました。中村哲氏の活動は伝えても、その地域にいる農民の考えを紹介することはありませんでした。記者もイスラム原理主義に対する抵抗感が強くて、事実を知ろうとしなかったのではないかと思います。1990年代のヘクマチアルやその後のタリバン政権に対して抵抗していたマスード将軍につては、朝日新聞も取り上げていました。イスラム教徒でありながら開明的であったマスードは、記者にとっても共感できる人物だったでしょう。