1979年にベトナムがカンボジアに侵攻

1979年にベトナムがカンボジアに侵攻してポルポト政権が崩壊しました。クメールルージュがアメリカ軍を撤退させて共産主義政権を樹立したのちは、国内の動静が全く報じられなくなっていました。一度だけ首都プノンペンに人が誰もいないという報道があったきりでした。
カンボジアでは何が起こっているのだろうと気になっていたのですが、ベトナム軍に支援されたヘンサムリン政権が誕生した後は驚きの連続でした。そもそも冷戦下の時代に共産主義国家同士が戦うこと自体が不思議でしたが、ポルポト政権下で300万人が虐殺されたと報じられたときは何と受け止めてよいか分からずに呆然としました。
被害者数に関しては後年下方修正されましたが、共産主義や軍事独裁政権の恐ろしさを思い知りました。この大虐殺については世界的に大々的に報道されましたが、これよりはるかに多くの人々が殺されていっている事実がほとんど報じられていません。
コンゴでは500万人が殺され、今も戦闘が続いているのです。1997年にモブツ大統領が亡命してザイールからコンゴ民主共和国に変わって以来、政情が安定しません。1998年から2002年の間はアフリカ大戦にまで発展し、10か国が戦争に巻き込まれました。
500万人の犠牲者といえばホロコーストによるユダヤ人の犠牲者数600万人に迫ります。500万人という数も2007年の資料によるものなので今は増えています。密林と伝染病の国で戦争が起こっているので、情勢を調べて報じるのは困難なのでしょう。それにしても多く人が殺されている現状が報じられず、関心も呼ばないことには歯噛みする思いです。
本田勝一がカンボジアで実施したような定量調査はいつかできるのでしょうか。

国境なき医師団日本(Médecins Sans Frontières)