チボの狂宴
2010年にノーベル文学賞を受賞したペルーの作家、マリオ・バルガス=リョサが
2000年に発表した“La Fiesta Del Chivo”の邦訳です。直訳すると『山羊の祭』。
「チボ」は山羊の意味ですが、本当は「チボ」とは女好きなことで知られる
ドミニカ共和国36代大統領、ラファエル・レオニダス・トゥルヒーリョ・モリナの
あだ名なのです。
トゥルヒーリョとはラテン・アメリカ世界においても他に並ぶ者のない最大の
独裁者です。物語を並列的に展開しており、最後の章まで読むことで、パズルが
完成するように全体像が見える構成がお見事。幻想的!!ノンフィクションっぽく
描かれています。
また、以前に読んだガルシア・マルケス作品の『族長の秋』も同じくこの
トゥルヒーリョの話です。こちらは、怖いファンタジー・怪談小説!!
彼がどんどん、人を殺して権力を手中にし、思いのままに操ります。
偉大な文学者はステロタイプな独裁者像など一切描きません。