下顎犬歯根尖部に白い円形の影が写っていた
【相談者】2014年12月18日 S
はじめまして、よろしくお願い致します。先日、虫歯の治療で歯医者に行き、レントゲンを撮ったところ、右下、奥歯よりひとつ手前の歯の根っこの下に、白くてほぼ真んマルなものがうつっていました。(奥歯が虫歯)
口腔外科の受診を勧められました。悪性の可能性を聞くと、嚢胞とは思うがこんなの見たことないのでね、、、と。ネットでは、良性は黒いマ ルで、白は悪性が多いようですが?痛みや腫れはありません。転移性のものなら痛みはありますか?検査するしかないんですが、あくまで可能性として、いかが でしょうか?
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
エックス線写真で、下顎犬歯根尖部に白い円形の影が写っていたとしたら、何らかの変化があったのでしょう。
そもそも光は物体にぶつかると反射するため、突き抜けて通り抜けることはありませんが、エックス線ではその一部が物体を通過し、残りは反 射します。通過したエックス線がフィルムの銀の粒子と反応して黒くなり、エックス線がフィルムに当たらなかった部分は黒くならず白いまま残るのです。
このように、物体によってエックス線が通過する量が異なり、その程度によって濃淡がついたエックス線写真が出来上がります。下顎犬歯の根尖付近の骨は一部エックス線を通すため、やや薄い白色で写ります。
骨の中に黒い影(病変)が写ることがよくありますが、黒くなるのは骨が溶けてエックス線が通過(透過)しやすくなったからで、これを透過像といいます。根尖周囲が黒くなる理由として最もよく見られるのは根尖病変で、歯根のう胞、歯根肉芽腫、根尖膿瘍の3つに分類されます。
骨が黒くなる、即ち透過像が生じる病気には根尖病変の他に顎骨のう胞、顎骨腫瘍、骨髄炎などがあり、稀にガンが生じる場合もあります。
一方、骨が白くなるのは顎骨の中に骨よりも硬くエックス線が通過(透過)しにくい病変がある場合で、この白い影を不透過像といいます。骨 が白くなる、つまり不透過像を示す病変は透過像を示す病変よりも出現頻度が低く、歯牙腫やセメント質腫、骨腫などがありますが、いずれも良性の腫瘍です。 従って、ご心配されている白く丸い病変は悪性ではなく、転移することもないと考えられます。